記事専用の説明図。機器の形状は模式的に描いています。
先にW、次にWhを見る
ポータブル電源を選ぶときは、家電の消費電力が電源の定格出力に収まるかを先に見ます。その後、何時間使いたいかを容量のWhで考えます。容量が大きくても、出力が足りない家電を動かせるようになるわけではありません。
たとえば「容量300Wh・定格出力300W」という架空の電源に、消費電力1,200Wのケトルをつなぐ計画は、容量の計算へ進む前に見直す必要があります。反対に60Wの機器なら定格出力だけを見ると範囲内ですが、長時間使うための容量が足りるかは別の話です。起動時に大きな電力が必要な機器では、定常時のWだけで適合を決められません。
「300」という数字だけを比べない
| 表記 | 読み取ること | 読み取れないこと |
|---|---|---|
| 定格出力300W | 継続して供給できる出力の条件 | 300時間使えるという意味ではない |
| 容量300Wh | 蓄えられる電力量の規模 | どんな300W家電でも確実に動くとは限らない |
| 瞬間最大600W | 短い時間の出力条件 | 定格600Wとして使い続けられるとは限らない |
| USB-C最大140W | 特定端子の上限の一つ | 全端子で同時に140W出せるとは限らない |
実在するC300とC300 DCは、容量がどちらも288WhでもACコンセントの有無が違います。「容量が同じだから使い道も同じ」と判断すると、コンセントでしか使えない道具が接続できない買い物になります。商品名の末尾まで読む理由はここにあります。
60Wを4時間使う場合の計算
一定の60Wを4時間使う、という架空の条件なら、機器側で必要な電力量は60×4=240Whです。ただし電源に表示された容量をすべて機器へ渡せるわけではありません。変換や電源自身の消費などをまとめ、仮に80%を利用できると置けば240÷0.8=300Whが算術上の目安になります。
80%は、このサイトが計算方法を説明するために置いた数字です。USB給電かAC給電か、負荷の大きさ、温度、電池の状態でも条件は変わります。計算結果と同じ容量を買えば必ず4時間動く、と読まないでください。予備をどれだけ残すかも、実際の使い方から決める必要があります。
買う前に書くのは三つの欄
家電の名前、消費電力、使いたい時間を紙に一行ずつ書きます。Wが分からなければ、本体の銘板や説明書を見ます。電子レンジなら「加熱出力」ではなく電源から使う「消費電力」を探します。途中で運転が止まる機器は、一定負荷の計算だけでは時間が読めないので、その欄に「変動あり」と残します。
さらに接続方法としてAC、USB-C、USB-Aなどを添えれば、容量・出力・端子の三つを同じ表で照合できます。自分の道具をこの形にした後で製品を比較すると、余分な大容量を買う理由と、容量を増やすべき理由を分けられます。
同じ容量でも、買う理由が変わる二つの例
架空のAさんはUSB-Cで充電できるパソコンを2時間使い、BさんはACのケトルを6分使いたいとします。パソコンを一定60W、ケトルを一定1200Wと仮定すると、どちらも機器側の電力量は120Whです。容量計算では同じでも、接続端子と定格出力の条件はまったく違います。
| 架空の用途 | 計算 | 出力側で残る確認 |
|---|---|---|
| PCの作業 | 60W×2時間=120Wh | USB-C入力とケーブルの対応 |
| ケトル | 1200W×0.1時間=120Wh | AC定格出力と対象機器の条件 |
二人が同じ小型電源を買ってよいとは、この計算からは言えません。比較表を見るときも、Whの欄で候補を選んだら、Wと端子の欄へ戻る必要があります。容量を増やすかどうかより先に、電気を届ける経路が成立するかを見る例です。
mAhで書かれた物と比較するには
モバイルバッテリーにはmAhで容量が書かれていることがあります。mAhはWhと同じ単位ではありません。単純な桁の大きさで比べず、容量の計算に使う電圧が分かれば、Ah×VでWhへ換算する考え方を使います。20,000mAhは20Ahですが、そこへ掛ける電圧を推測して固定しないようにします。
製品仕様にWhが併記されていれば、その値と定格出力を読んだほうが比較しやすくなります。スマートフォンだけが用途なら、そもそもAC付き電源が必要かをこの段階で考え直せます。
一定負荷の使用時間を変えて、必要容量の目安を出せます。起動電力や機器の適合は別に確認が必要です。
容量計算ツールへ →参照した公式情報
仕様・表示確認日:2026年10月9日。計算例は編集部が前提を置いて作成したものです。製品仕様、価格、在庫は購入先の最新表示を確認してください。